若手外科医・臨床医の声

千代反田 顕先生(宮崎大学医学部附属 病院外科学(当時))

2019年2月2日、3日に、東京で開催された日本臨床外科学会主催の第7回「次世代の臨床外科医のための特別セミナー」に出席した。会場は東京のグランドプリンスホテル高輪の一室で全国から3名ずつ参加していた。学生から年配の方まで参加していたが、医師歴数年の世代が多かった。2日間にわたり各分野で活躍されている先生方が講演された。1日目の講演内容は、参議院議員の足立先生による医療政策の話から、若手外科医の手術動画に対して一流の先生がアドバイスするパネルディスカッションまで幅広く、専門分野も胸部外科から上部、下部消化管、鼠経ヘルニアと盛りだくさんであった。2日目は“私が理想とする外科医”というテーマで3人の先生がご自身の人生経験を踏まえてお話してくださった。2日目のお昼で終了となった。地方で生活しており同期も多くはない状況で、百数十名の同世代の外科医を目の当たりにしたことは、それだけでも刺激的な時間でした。また、著名な先生方が我々の目線からお話してくださることはなかなかない機会であったと思います。このような大変有意義なセミナーに参加させていただき誠にありがとうございました。今後の人生の姿勢に生かしていきます。

坪井浩一先生(古賀総合病院外科(当時))

今日はこのような機会を頂き誠にありがとうございます。昨年2月に開催された会の報告会ということで、機会を頂きました。2日間にわたり多くの見地を得ることができ、大変勉強になりました。
古賀病院で過ごした2年間は大変大きな財産になっています。この先、若い外科医の皆さんの為になるようなお話ができれば、と思って本日は参加させていただきました。少しでもプラスになって明日以降の意識が少しでも変わるような、そんな内容のお話ができたらいいな、と考えます。趣旨と少し合わない内容となるかもしれませんが、少しだけお時間を頂きます。
今回、セミナーに参加させていただいた際のメモを見直していました。特にビデオセッションにおいては自分の症例を会場で提示し、その道のプロフェッショナルに評価をして頂きディスカッションを行うという面白い試みでした。手術の現場においては感覚的に進めていく部分が非常に多いです。その中で映像を用いてこれまで曖昧にあるいは気づかずに過ごしていた手技、感覚的に進めていたところなどを言葉に表現しながら振り返り、共有する。そして次回へフィードバックすることが非常に大切であると考えました。(知り合いの麻酔科の先生は自分の麻酔をかけている映像を撮影し、自己分析を繰り返し無駄ない所作で麻酔をかけることを訓練したということを聞いたことがあります)。自分の手技を後から客観性をもって見直すことの大切さを改めて実感しました。
教育においてはInputとoutputのバランスが一つの課題であると感じています。術前準備として費やす時間や勉強会・セミナーへの参加で得られた知識はすべてinputの要素です。その知識が生きたものとして役立つためにはoutputを繰り返す必要があります。外科修練においては手術場でオペレーターもしくは前立ちとしての経験を積むことにあたると考えます。地方都市の最大のメリットは(若手が少ない分・・・)一人当たりの症例数がそれなりに多く、outputのチャンスが比較的多いのでは、と感じます。
Outputのチャンス(つまり自分がオペレータになれるかどうか)は自分の力だけでは何ともできないこともあります。が、Inputに関しては自分の工夫次第でいくらでも増やせます。居心地の良い場所でのんびり過ごしたくなる気持ちもわかりますが、勇気を出して一歩外へ。同じ宮崎県内でも隣接する県でもいいので。一つの場所にとどまらず様々な地域・年代の外科医からまた、あらゆる臓器で、地域や施設によっても異なる手技を学ぶチャンスを自分自身で作り上げていく意識が大切です。
県内での人員確保を優先するあまり、若手を囲い込んでしまう事は避けたいです。どこの地方でも同じことが行われているような気がしますが・・・本当にすべきことはその逆で、宮崎からどんどん外へ。いずれ成長して戻ってくる事を期待して、修行に出すことも上級医の役割と考えます。時間はかかるかもしれませんが10年20年先を見据えたとき、他の地域とは比べ物にならない魅力あふれる研修システムが確立していくことを期待します。
本当の理想をいえば宮崎県内に居ながらにして、その道のプロから直接指導を頂けたり通信システムを確立して病院同士の若手が合同カンファを開催することでinputの共有ができるなど。IT技術の目覚ましい進歩の波にうまく乗ることができれば、移動距離という障壁をとっぱらって知識の共有が可能になるのでは、と考えます。具体的な方法はこれから模索していく必要があると思いますが…宮崎県の外科研修はほかのところとは一味違うぞ、と一目置かれるような。これまでに例のない新しいアイデアや価値観を想像し人材育成、技術修練において将来的に他の地域の参考になるような方法を確立していく。外科医会がリーダーとなって宮崎県内はては南九州全域において実施していけたらとっても頼もしいことになるのではと考えます。私自身なんらかの形でかかわることができたら嬉しいです。まずは地方都市での外科修練に教務のある若手をどんどん宮崎へ送り込み少しでも貢献できればと考えます。私を介して、本日ここにいる若手外科医の皆さんの将来的な選択肢が少しでも広がったのであれば嬉しく思います。勇気をだして一歩外へ出てみて下さい。
今日は立場をわきまえず長々と話をさせて頂きありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。

濱廣 友華先生(宮崎大学附属病院外科学講座)

第6回 次世代の臨床外科医のための特別セミナー 報告

2018年2月3日、4日に行われました「次世代の臨床外科医のための特別セミナー」に参加させていただきました。初日は、日本のこれからの医療政策の話、野村先生の女性医師のあり方についてのご講演が行われました。手術手技パネルでは公募で選ばれた手術動画を基に各分野の専門家から助言を受けると言う構図でした。夜は懇親会があり、同じ志の若手外科医との交流がありました。2日目は「私が理想とする外科医像」というテーマで3名の先生方の発表があり、最後に栄養についてのランチョンセミナーがあり終了しました。個人的に最も印象に残ったのは塩崎均先生の「今が一番若い。今を一生懸命生きて、悔いのない人生」という一節でした。塩崎先生の理想の外科医は「学び続ける人」であり、外科医である以上その責務を果たさねばならないと強く感銘を受けました。セミナーは若手に向けてメッセージ性の強い内容が多く、とても刺激的なものでした。このようなセミナーに参加させていただける機会を作ってくださった皆様に感謝いたします。ありがとうございました。

米盛 圭一先生(宮崎江南病院外科)

第6回次世代の臨床外科医のための特別セミナーに参加して

平成30年2月3日から4日にかけて、第6回次世代の臨床外科医のための特別セミナーに参加させていただきました。参加したのは、研修医の先生から、だいたい10年目くらいまでといった印象でした。
初日は、外科医で参議院議員、かつ弁護士でもある慶応大学の古川先生による医療経済のお話と、子育てをしつつ東大病院消化器外科の准教授として活躍されている野村先生のご講演でした。女性外科医として、母としていかに働くかということで、今回のセミナーのメインのお話しでした。午後からは肺癌、胃癌、大腸癌、肝癌の手術ビデオのセッションで、それぞれの分野で若手の先生がビデオを提出し、それにコメントいただくという形式でした。ビデオを出している先生方が自分とあまり変わらない経験年数の方ばかりで、非常に刺激になりました。2日目は「私が理想とする外科医」というテーマで3人の先生方の講演で、各々の先生方のこれまでの歩みから、我々若手へのアドバイスといった内容でした。
2日間かなりの過密日程で、どの講演もとても興味深かったのですが、最も心に残ったのは、1日目の夜に開かれた懇親会で、良い感じに出来上がった日本大学の高山忠利先生が、手術が上手になるためには、ということで仰られた「とにかく数だ」という一言でした。センスの有無よりも、まずは経験をしないことには上手にはならないということで、なかなか手術手技の習得がうまくいかない自分にとっては、とても響いた言葉でした。また、普段交流することのない全国の外科医の先生方とお話しすることも出来、非常に有意義な時間を過ごすことができました。
今回のセミナーへ参加させていただき、宮崎県外科医会の先生方には心よりお礼申し上げます。今回学んだことを生かして日々の診療を頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。

岩崎 あや香先生(県立宮崎病院外科)

第6回次世代の臨床外科医のための特別セミナーに参加して

2018年2月に行われた次世代の臨床外科医のための特別セミナーに参加させていただいたので、簡単に報告します。
2日間予定されており、講演1,2、手術手技パネル、懇親会、私が理想とする外科医、ランチョンセミナーと構成されていました。
講演2では東京大学大学院医学系研究科消化管外科 野村 幸世先生より「母として、外科医の妻としての女性消化器外科医」というタイトルでご講演いただきました。
手術手技パネルでは肺癌、胃癌、大腸癌、肝癌の4分野で若手医師が手術ビデオを供覧・解説し、その講師の先生による解説・手術ビデオ解説がありました。
1日目の最後には懇親会がありました。
同じ大学の同期と話す機会は多いですが、他県の同じ外科という分野にいる同期・先生方と話す機会はなかなかなくとてもよい機会になりました。
2日目は私が理想とする外科医というテーマで3人の先生にご講演いただきました。
患者さんとの信頼関係、さまざまなことに取り組む姿勢など学ぶことが多くありました。
ランチョンセミナーは栄養学の講演で、栄養学の大切さ、普段どれだけ栄養不足をつくってしまっているかを痛感しました。
2日間にわたり、様々な講演を聴くことができ、参加して本当によかったと感じました。

濱田 剛臣先生(宮崎大学外科学講座肝胆膵外科学分野)

名古屋大学腫瘍外科での国内外科研修を終えて

この度,日本臨床外科学会国内外科研修委員会の平成29年度国内外科研修プログラムとして,名古屋大学腫瘍外科学へ平成29年10月2日から10月13日までの2週間で短期研修をさせていただきました.
まず始めに,このような機会をいただきました日本臨床外科学会跡見裕会長,国内外科研修委員会高山忠利委員長を始めとした委員の先生方,私を推薦していただきました当科七島篤志教授,宮崎県外科医会長白尾一定先生,また,研修を快く受諾いただき暖かく迎えていただきました名古屋大学腫瘍外科学,梛野正人教授,深谷昌秀医局長を始めとした全てのスタッフの方々に厚く御礼申し上げます.
研修期間中は主に肝胆膵外科の手術について学ばせていただきました.肝門部領域胆管癌はその発生部位より治療に難渋する疾患でありますが,名古屋大学腫瘍外科学では1週間に2例ほどのペースで手術が行われていました.術前診断に関しては,ERCの生検による確定診断を行っており,進展範囲診断はCT,IDUS,マッピング生検で行い,術前ドレナージはENBDで行い,胆汁還元を行っておりました.
期間中,右葉尾状葉切除肝外胆管切除が2例(1例は肝動脈再建),左葉尾状葉肝外胆管切除,動門脈再建が1例,左葉切除2例,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術が1例と数多くの胆管癌の手術を見学させていただきました.
肝動脈再建を伴う葉切除はあまり経験がなく,肝十二指腸間膜廓清の手順や,術中の胆道ドレナージ,動門脈再建等の手術手技に関することや,術後の輸液・栄養管理を含めドレーン管理などをご指導いただき大変勉強になりました.胆管癌に対する膵頭十二指腸切除術では,胆管を最後に切離しており,胆管癌に対するこだわりを強く感じました.実際に2助手で手術に参加する機会もいただき,間近に剥離や運針操作を見学できたことも非常に有意義でした.
術前術後の検討会では,若手外科医が作成した症例検討用紙をもとに手術の方針に関しての確認や手術内容の確認が詳細に行われていました.この症例検討用紙には肝動脈,門脈,胆管の走行図と胆管の予定切離ライン,胆管の予定再建穴数などの予想展開図が描かれており,大変勉強になりました.
2週間という短い期間では有りましたが,多くの肝門部領域の手術を見学できたことは大きな経験で有りました.また,これまで当科で経験してきた術前の方針や,治療法に関しては大きな違いがないこと,悩ましい症例は名古屋でも悩んでいるということもわかりました.全体を通して,何よりも梛野教授を始めスタッフの先生方の癌(特に肝門部領域胆管癌)に対するどうにかして治療しよう,切除しようという気持ち,メスの限界に挑戦するんだという強い意思を教室全体から感じることができました.
最後に,2週間もの間研修を行うことができたのは,不在の間,その間の業務を負担し支えていただいた当医局の先生方のおかげと存じます.この場をお借りしてお礼申し上げます.

千代反田 顕先生(宮崎大学医学部外科学講座)

千代反田

初めまして、宮崎大学医学部外科学講座に4月に入局させていただきました千代反田と申します。私は久留米大学を卒業し、宮崎大学で研修医から働かせていただいてます。入局後は4月から7月までの4ヶ月間を肝胆膵グループで、8月からは下部消化管グループで症例を積ませていただいている最中です。先生方は優しい方ばかりで時に厳しく、プライベートでは人生相談などもしてくださり外科医としての生き方を背中で教えてくださっています。また、平日や週末は週に1~2回程度大学以外の病院でも働かせていただき、そこでもいろいろなことを経験させていただいています。体力的に大変な時もありますが、上司の先生方がさらに頑張っている姿を目の当たりにするたびに心が引き締まる思いです。皆様のように宮崎の医療を支えていける医師となれるように今後とも邁進してまいりますので、どうか今後ともご指導宜しくお願い申し上げます。有難うございました。

千代反田顕先生は、2018年夏期講演会で若手奨励賞を受賞されました