宮崎で外科医として働きませんか

この度は宮崎県外科医会HPの「宮崎で外科医として働きませんか」への投稿にお声をかけて頂きましてどうもありがとうございます.
28年ぶりに宮崎にUターンしてから5年目を迎えました. 宮崎で外科医として働くこと –私のまわり道した経歴であまり参考になりませんが, 自分の経験談と今思っていることについて書かせて頂きたいと存じます.
私は地元の延岡高校から早稲田大学文学部に進学し, 日本文学専修で正岡子規が卒業論文のテーマでした. 急なきっかけで卒業の年に東海大学医学部に学士入学し, そこで大きな方向転換することになりました. 外科に入局し, レジデント終了後は関東の関連病院に出向しておりましたが, 13年目となる2011年に大学を離れ, 公益財団法人 練馬総合病院に一般外科医として勤務しました. 地域に根差した病院で, 外科は常勤医5名と慶応から毎年1人ずつ派遣される3年目の専修医, 研修医のこじんまりした環境でした. ラパ胆以外はほとんど開腹手術の病院でしたが, 専修医の先生との手術や上下部内視鏡の日々で, 仕事を終えるとみんなでよくご飯に行っていたなあと今となっては懐かしく思い出します.
いずれ地元にという長年の思いを抱いているところに, ご縁あって宮崎大学消化管・内分泌・小児外科の下部消化管グループで働かせて頂く機会を得ました. そして, こちらに赴任する前の1年足らずの期間, がん研有明病院で無給医という立場でしたが, レジデントの先生方に混じってカンファレンスや手術見学の毎日を過ごすことができました. それまで腹腔鏡手術をほとんど経験しておらず, 腹腔鏡ならではの視野展開や術中のイメージがなかなか共有できずに, 研修中は手技を目に焼き付けるのが精一杯だったのですが, 今にして思えば毎週行われる他科を含めたカンファレンス, 集学的治療を含めた根治を追求する治療方針や, 困難症例に苦労しながらも慎重さとスピードを緩急自在に進めていく手術を見せて頂いたことは, 本当にかけがえのない経験でした.
2017年4月から宮崎大学の下部消化管グループでお世話になり, 現在では腹腔鏡下の大腸直腸癌手術をはじめ, 池田拓人先生が消化器内科と連携されている炎症性腸疾患の治療方針を学ぶ機会も多く, 充実した日々です.
大学では卒後臨床研修センターの職員を兼任しております. 医学部の臨床実習から卒後臨床研修, 専門医プログラムなど一連のカリキュラムに接する機会があるのですが, 宮崎は大学と中核病院, 地域病院との連携がよく取れていて, 若手の先生方の選択肢も多く, バランスのとれたトレーニングのできる環境に恵まれていると感じます.
卒後は, 宮崎を気に入って大学に残られる他県出身の先生, 県内出身で一度は外に出て研鑽を積んでみたいと希望される先生, そして私のように他大学出身でも受け入れて頂いて改めて宮崎の良さを実感している人など様々だと思いますが, どのパターンもそれぞれの良さがあり, いろんな考え方, 境遇の人が集まって力を出し合うことが大切と思います.
当外科学教室では子育てしながらキャリアを積まれているご夫婦もいらっしゃいますので, 女性医師の方でも外科に興味があれば, 安心して是非飛び込んできて頂きたいと思います.
それに加えて, 穏やかで親切な県民性と, 豊かに恵まれた自然環境, 美味しいものにも囲まれて本当に住みやすい街だと実感しています!

市原 明子