2019年2月

平成30年度夏季講演会「熟練外科医から若手外科医へ」東先生の講演内容を掲載しました。

平成30年度夏季講演会「熟練外科医から若手外科医へ」

君たちに伝えたい宮崎の遺産
肝腫瘍に対する手術手技(その1)

メディカルシティ東部病院 肝がん治療センター・外科
東 秀史 先生


肝臓外科は1980年から90年代にかけて飛躍的な進歩を遂げました。その最も大きな要因は、肝離断に際して個々の脈管を意識するようになったことであり、フランスのクイノーがグリソン鞘を意識する手技を提唱したことが緒端でありました。その後、肝静脈の温存によりoutflow blockを避ける手技が定着するに至って、術死率は15%からほぼゼロに低下するという驚愕の結末に至っています。この時代に、宮崎医科大学の肝臓外科は先端的な手術手技を数多く提唱し、30年を経た現在でもその一部が標準的な手技として残っています。

今回は、肝腫瘍の摘出が困難と判断されるケースにおいて、(1)腫瘍と(温存すべき)脈管が近接している場合、(2)下大静脈を遮断しなければ危険と判断される場合の2点に関する(宮崎医科大学で開発された)手術手技を提示します。

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2018年2月8日宮崎県外科医会冬季講演会を終えて

宮崎県外科医会 会長 白尾一定

2018年2月8日に宮崎県外科医会冬季講演会が宮崎県医師会館にて開催された。テーマは「この疾患に対するわたしの工夫」で、司会は、宮崎県外科医会副会長の宮本耕次先生、一般演題は9題、「熟練外科医から若手外科医」は、宮崎善仁会病院の関谷亮先生に「私が経験した訴訟症例、訴訟になりそうであった症例の検討、等々」について講演して頂いた。座長は、宮崎大学外科長友謙三先生、県立宮崎病院岩崎あや香先生、都城医療センター杉原栄孝先生、南部病院八尋陽平先生でした。座長の先生には一般演題の感想をHPに提示して頂く予定です。一般演題の中で、メディカルシティ東部病院外科の東秀史先生の「門脈圧亢進症に対して脾肺固着術を行った1例」については、歴史的背景から術式の解説まで詳しく説明して頂いた。宮崎善仁会病院の関谷亮先生の「私が経験した訴訟症例、訴訟になりそうであった症例の検討、等々」は、自ら経験された訴訟関連症例の説明、外科医として知っておかなければならない訴訟への対応、NCDの手術関連死亡のデータ等広く説明して頂いた。「何よりも、一旦裁判になった時は上司が当事者を助ける。できるだけ当事者を裁判に行かせないようにする。裁判は弁護士にお任せして、私達は医師として、患者さんにのために精一杯尽くしていくべきである」など臨床外科医への貴重な助言を頂いた。一般演題への質問も多く活発に議論されました。参加して頂いた皆様有難う御座いました。次回は8月16日に「夏季講演会」を開催します。夏季講演会は若手外科医、研修医発表の場としていますので宜しくお願い致します。