宮崎県外科医会秋期講演会を開催いたしました

宮崎県外科医会秋期講演会「特別講演会」報告

宮崎県外科医会会長 白尾一定

2021年10月22日宮崎県外科医会秋期講演会「特別講演会がWebにて開催されました。参加者は34名でした。司会は、副会長宮本耕次先生で、特別講演の座長は宮崎大学肝胆膵外科教授の七島篤志先生でした。講師は鹿児島大学消化器・乳腺甲状腺外科の大塚隆生先生で「地域に根差した外科医の育成」について講演されました。外科医が減少している中で人材育成には、全人的教育、特に論理と感性が大切、歴史に学び国語を大切にする、日常から感性を育てることで手術に応用できる。腹腔鏡下膵頭十二指腸手術(PD)を例に、剥離と受動、面を広く作る、手の使い方などに説明されました。2020年には年間PD74例施行されていました。手術時間の短縮、コスト意識を持った手術(リガシュアー1本のみ)、ロボット支援手術ことなども説明されました。最後にGeneralistを基盤とした専門性を持った地域に信頼される外科診療の提供を行うと自ずと患者さまが集まり、人材育成と社会への還元が出来ると述べられました。宮崎に来られての講演は出来ませんでしたが、大変有意義な特別講演会でした。皆様のご参加有難う御座いました。

《 特別講演 》

「 地域に根差した外科医の育成 」

鹿児島大学大学院医歯学総合研究科
消化器・乳腺甲状腺外科
教授  大塚 隆生

地域外科医療を担う人材育成には中核となる大学病院で地域に信頼される臨床力の充実を図る必要がある。そうすれば自然と紹介が増えて若手が執刀する手術数が増え、さらに豊富な臨床データや切除検体を用いた質の高い研究を行うことができ、臨床・研究・教育のサイクルが効率よく回るようになる。若者が活躍する組織には活気があり、それを見た後輩が憧れをもって活躍の場を求めて集まってきてくれれば組織は発展する。従って教室運営の大きな柱として「地域に信頼され、若者が活躍する組織づくり」を掲げている。人材育成ではサイエンスとアートのバランスの良い両立、すなわち論理的・科学的思考力の向上とともに、地域愛や人として重要な思いやりの心である惻隠の情、さらに芸術的感覚を備えた感性の醸成にも配慮している。サイエンスとアートの両立には豊かな自然と文化がある土地に身を置く必要があると言われているが、幸い鹿児島は世界的にも珍しいユネスコ世界自然遺産と文化遺産の両者が揃っている。こういった地の利も生かした教室の人材育成へ向けた取り組みを紹介する。