宮崎県外科医会会長 白尾一定
2025年8月1日宮崎県外科医会夏期講演会が宮崎県医師会館において開催されました。参加者は、現地51名、Web31名でした。総合司会は宮本耕次副会長が行いました。
社保指導は岩村威志先生でした。今回は、医療保険制度や保険審査および審査委員会の流れについて詳しく説明して頂きました。詳記は手術記録のコピーでは無く、要約して記載する。超音波検査施行時は部位の記載を忘れずに、CRP検査時の病名などを注意点として説明されました。
2025年2月1~2日に東京にて行われた「次世代の臨床外科医のための特別セミナー」について、廣松昌平先生、阪本倖規先生および古島理紗子先生より報告がありました。多くの刺激を受けたと報告されました。宮崎での外科臨床に役立てて頂きたいと思います。
2025年3月19日に開催された第1回HIMUKA Live Surgery Seminarについて、中島真也先生より報告して頂きました。参加者の満足度の高いセミナーが開催出来て良かったです。中島先生始め、ご協力頂いた諸先生方に感謝申し上げます。
一般演題は15演題で、5年目までの「若手奨励賞」対象演題は9演題でした。消化器、肝胆膵、心臓、肺、ヘルニアなど多岐にわたる発表があり、議論も充分に行われていました。後日、「若手奨励賞」を選考いたします。
「熟練外科医から若手外科医へ」は、元村胃腸科外科の元村祐三先生が、「外科医としての50年を振り返る」と題して講演して頂きました。患者様から「この先生に手術して欲しい」と言われるまで研鑽して欲しい。外科医は素晴らしいとお言葉を頂きました。
夜遅くまでの講演会でしたが、最後まで多くの先生にご参加頂き有難う御座いました。次回は、11月14日の秋期講演会です。皆様のご参加を宜しくお願いします。
次世代の臨床外科医のための特別セミナー
宮崎大学医学部附属病院 外科 古島 理紗子 先生、阪本 倖規 先生、廣松 昌平 先生
2025年2月1、2日に東京で行われた次世代の臨床外科医のための特別セミナーに参加させていただいた。今回のメインテーマは働き方改革だった。働き方改革を機会に外科医の働き方も見直されており、そういった取り組みが若手外科医の確保に繋がるとのことだった。実際に隣県の大分県では様々な取り組みが行われ、現在外科医が増加傾向とのことだった。宮崎県でも外科医が増えて行くことを期待したい。
手術手技パネルでは腹腔鏡手術とロボット手術の対比がされていた。ロボット手術の症例提示をされた先生は卒後7年とのことで、それほど学年が離れていない先生がロボット手術を多数されている姿に驚くと共に刺激をいただいた。懇親会では学年が近い外科医の先生方と交流ができ、手術に対する取り組み方や勉強する姿勢など様々な面で参考になった。セミナーを通して新しい知見を学べたと共に、今後の仕事への取り組み方を考え直す有意義な時間となった。
【熟練外科医から若手外科医へ】
元村胃腸科外科 院長 元 村 祐 三 先生
外科医としての50年を振り返る
40年代は検査手段がまだ完成されていなくて大変な時代でした
PTC、血筈造彩(これはカテーテルを自分たちで先端を細くしたり先端を熱によって丸みを付けたり作製していました。逆行性膵胆菅造影、逆行性腎盂撮影、脳血管撮影、DIP,DIC腹単、胸写、腹腔動脈造影、上腸間膜動脈造影、下腸間膜動脈造影などを駆使して総合的に診断をしていました。閉塞性黄疸の診断に経皮経肝胆管造影ドレナージなどを駆使して診断治療をしていました」。内視鏡は当初はいわゆる胃カメラ(先端にカメラ装置を装着したこれこそ胃カメラでした)で写真撮影は内視鏡室を真っ暗にして胃壁を通してかすかに漏れる明かりを頼りに写哀撮影していました。当然のことながら現像されてきたフィルムを見るまではどのような写真になるか予測がつきませんでした。生検は別のファイパーを用い観察生検を行いました。まもなくこれらをすべて内蔵した現在の形のファイバーになりました。術前の検査ではこれらのような手段を駆使して苦労しながら診断していました。50年代になるとCT,MR1が出現し全体の把握が容易になりました。
手術の中身を見てみると40年代はまだ難治性の胃、十二指腸潰瘍が多く見られいわゆる滅酸手術としての胃切除が行われていました。育がんにおいては当時かなりの進行癌が多く盛んに拡大手術が叫ばれていました。その後診断技術の進歩により早期癌での発見率が増え続けさらに癌の壁深達度とリンパ節転移の関係が明らかになるにつれて内視鏡での根治ができるようになってきました。手術方法も開腹手術ではなく腹腔競下の手術が主流になってきました。
内視鏡手術はEMRにはじまりESDが行われ驚くべき発展を遂げています。
この50年間にて診断学が飛躍的に発展し術前診断がかなり正確にできるようになりました。これにより術前にシミュレーションが容易になり予定どおりの手術が可能になりました。
当然のことながら手術も順調にいくことが増え合併症も減ってきました。さらにこれらに加え内視鏡手術が増え特に腹腔鏡では術野が拡大されて正確な層がわかりやすく対応がしやすくなりました。
これからはAIがこのなかにはいってくるようになってくると思われます。どのような形で入ってくるかは予測がつきません。