宮崎大学医学部外科学講座の武野です。
今回は、4月25日に宮崎大学錦本町キャンパスにて開催いたしました「手術室運営塾II」についてご報告させていただきます。
本企画は、宮崎市(県)における消化器外科領域における緊急手術の問題と取り組みについて、宮崎市内の主だった医療施設の消化器外科医が一堂に集まり意見を交換することで、今後の緊急手術のスムーズな対応と激減が危惧されている消化器外科医のQOLの維持・向上につなげることができないか模索することを目的に開催いたしました。
二部構成で企画され、初めに主催いただいたJohnson & Johnson Medtech様より宮崎県と講師の門馬智之先生の福島県における医療圏のデータ分析をご提示いただきました。
第一部は、宮崎大学医学部附属病院の賀本敏行病院長に司会の労をお取りいただき、福島県立医科大学・消化管外科学講座より門馬智之先生を講師にお迎えして「『福島発・地域連携で築く持続可能な外科医療~求められる変革と共創~』のタイトルでご講演を賜りました。福島県では地域の医療施設の規模、性質、収容能力などをしっかり検討し、消化器外科領域の緊急症例に対する施設輪番制を採用することで限られた消化器外科のマンパワーを有効活用し、消化器外科医の完全休日の確保によるQOLの維持を実現できた成功例を、それまでの苦労や実現までの課題などについて具体的にお話しいただきました。
やはり実現のためには、医療施設や外科医に対するインセンティブをはじめとする経済的な問題の解決のために公的な経済的援助が欠かせないことを実感しました。一方で、医療施設の規模や性格に応じて、緊急手術は対応不能な初期対応のみの施設であっても輪番制に入ってもらうことで随分円滑に輪番制が維持できることなど、実際の運営について参考になる多くの事を勉強させていただく機会となりました。
第二部では、クローズなラウンドテーブルディスカッションの形式で、参加いただいた施設の先生方にアンケート形式でご回答いただき、対面式で意見交換を行う貴重な機会となりました。
参加いただいた医療施設医ごとで緊急手術への積極的な取り組みを行っているものの、消化器外科医の人材確保、麻酔科・消化器内科をはじめとした他科との連携やインセンティブの必要性などの問題は山積みである現状をお互いに再認識でき、今後、議論を重ねて何とか輪番制などのシステムの導入への第一歩にできればと考えております。
また、この場をお借りいたしまして、ご参加いただきました各医療施設の皆様、主催をいただきましたJohnson & Johnson Medtech様に御礼を申し上げたいと思います。
本当に、ありがとうございました。