濱田 剛臣先生(宮崎大学外科学講座肝胆膵外科学分野)

名古屋大学腫瘍外科での国内外科研修を終えて

この度,日本臨床外科学会国内外科研修委員会の平成29年度国内外科研修プログラムとして,名古屋大学腫瘍外科学へ平成29年10月2日から10月13日までの2週間で短期研修をさせていただきました.
まず始めに,このような機会をいただきました日本臨床外科学会跡見裕会長,国内外科研修委員会高山忠利委員長を始めとした委員の先生方,私を推薦していただきました当科七島篤志教授,宮崎県外科医会長白尾一定先生,また,研修を快く受諾いただき暖かく迎えていただきました名古屋大学腫瘍外科学,梛野正人教授,深谷昌秀医局長を始めとした全てのスタッフの方々に厚く御礼申し上げます.
研修期間中は主に肝胆膵外科の手術について学ばせていただきました.肝門部領域胆管癌はその発生部位より治療に難渋する疾患でありますが,名古屋大学腫瘍外科学では1週間に2例ほどのペースで手術が行われていました.術前診断に関しては,ERCの生検による確定診断を行っており,進展範囲診断はCT,IDUS,マッピング生検で行い,術前ドレナージはENBDで行い,胆汁還元を行っておりました.
期間中,右葉尾状葉切除肝外胆管切除が2例(1例は肝動脈再建),左葉尾状葉肝外胆管切除,動門脈再建が1例,左葉切除2例,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術が1例と数多くの胆管癌の手術を見学させていただきました.
肝動脈再建を伴う葉切除はあまり経験がなく,肝十二指腸間膜廓清の手順や,術中の胆道ドレナージ,動門脈再建等の手術手技に関することや,術後の輸液・栄養管理を含めドレーン管理などをご指導いただき大変勉強になりました.胆管癌に対する膵頭十二指腸切除術では,胆管を最後に切離しており,胆管癌に対するこだわりを強く感じました.実際に2助手で手術に参加する機会もいただき,間近に剥離や運針操作を見学できたことも非常に有意義でした.
術前術後の検討会では,若手外科医が作成した症例検討用紙をもとに手術の方針に関しての確認や手術内容の確認が詳細に行われていました.この症例検討用紙には肝動脈,門脈,胆管の走行図と胆管の予定切離ライン,胆管の予定再建穴数などの予想展開図が描かれており,大変勉強になりました.
2週間という短い期間では有りましたが,多くの肝門部領域の手術を見学できたことは大きな経験で有りました.また,これまで当科で経験してきた術前の方針や,治療法に関しては大きな違いがないこと,悩ましい症例は名古屋でも悩んでいるということもわかりました.全体を通して,何よりも梛野教授を始めスタッフの先生方の癌(特に肝門部領域胆管癌)に対するどうにかして治療しよう,切除しようという気持ち,メスの限界に挑戦するんだという強い意思を教室全体から感じることができました.
最後に,2週間もの間研修を行うことができたのは,不在の間,その間の業務を負担し支えていただいた当医局の先生方のおかげと存じます.この場をお借りしてお礼申し上げます.