先輩外科医師から若手医師へ

平成30年度夏季講演会「熟練外科医から若手外科医へ」

君たちに伝えたい宮崎の遺産
肝腫瘍に対する手術手技(その1)

メディカルシティ東部病院 肝がん治療センター・外科
東 秀史 先生


肝臓外科は1980年から90年代にかけて飛躍的な進歩を遂げました。その最も大きな要因は、肝離断に際して個々の脈管を意識するようになったことであり、フランスのクイノーがグリソン鞘を意識する手技を提唱したことが緒端でありました。その後、肝静脈の温存によりoutflow blockを避ける手技が定着するに至って、術死率は15%からほぼゼロに低下するという驚愕の結末に至っています。この時代に、宮崎医科大学の肝臓外科は先端的な手術手技を数多く提唱し、30年を経た現在でもその一部が標準的な手技として残っています。

今回は、肝腫瘍の摘出が困難と判断されるケースにおいて、(1)腫瘍と(温存すべき)脈管が近接している場合、(2)下大静脈を遮断しなければ危険と判断される場合の2点に関する(宮崎医科大学で開発された)手術手技を提示します。

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